スマホだと、文字の削除がやや手間なのでちょっと面倒くさいですね…
ほとんどの端末やかな変換ソフトであれば、上記のいづれかで変換が可能です。「おなじ」や「きごう」を利用する習慣をつけておくと、その他よく使う記号も変換できるのでおすすめです。余談ですが、〆(しめ)、〒(ゆうびんばんごう)、♪(おんぷ)、〃(全角くりかえし記号)…なども、上記の入力方法で簡単にタイピングすることが出来ます。
「々」や「ゝ」などの文字には正式な読み方はありませんが、「踊り字」「繰り返し符号」「送り字」「重ね字」「畳字(じょうじ)」「反復記号」などと呼ばれています。
繰り返し符号と呼ばれることからも分かるように、記号の一種です。「踊り字」「繰り返し符号」などの項目で、「々」や「ゝ」を取り上げている辞書もありますが、固有の音・意味を持たないので、漢字ではありません。
「々」は、「同の字点」もしくは、「ノ」と「マ」が重なって見えることから「ノマ点」と呼ばれます。「段々(段段)」「時々(時時)」のように漢字を繰り返すときに使います。この「同の字点」は日常生活でも使用機会の多い踊り字です。
「一の字点(一つ点)」とは、「ゝ」「ゞ」「ヽ」「ヾ」のことで、「こゝろ(こころ)」「すゞめ(すずめ)」「マントヒヽ(マントヒヒ)」「シヾミ(シジミ)」のように表記します。
「ゝ」「ゞ」はひらがなを繰り返すときに用い、同じ字を繰り返す場合は「ゝ」、濁る場合は「ゞ」を使用します。一方、「ヽ」「ヾ」はカタカナを繰り返すときに用い、同じ字を繰り返す場合は「ヽ」、濁る場合は「ヾ」を使用します。
ほかにも、「ゝ」を上下に2つ組み合わせた形の「二の字点」(「ゆすり点」)という踊り字もあります。漢字よりやや小さく右下に書き、使い方は「々」と同様です。現在は、代わりに「々」を使うことが一般的です。
画像のような「く」や「ぐ」といった踊り字(※文字化けの可能性があるため、実際の記号ではなくひらがなで代用しています)は、「くの字点」と呼ばれます。
基本的には縦書きで使用するのが一般的ですが、どうしても横書きしたい場合は「/」「\」「/゛」(※文字化けの可能性があるため、実際の記号ではなく別の記号で代用しています)を使用して、「いろ/\(いろいろ)」「こま/゛\(こまごま)」「たび/\(たびたび)」「知らず知らず(知らず/\)」などと表記することがあります。
文字の繰り返しに使用される踊り字ですが、注意すべき点があります。
例えば、「民主主義」を「民主々義」と表記することはできません。なぜなら、踊り字は「ひとつの単語を繰り返すときに使う」というルールがあるからです。「民主主義」は「民主」と「主義」の2つの単語からなる言葉ですが、同じ「主」でも意味の違う語句としての働きがあります。
また、フォーマルな文章では踊り字を使わない方が良いという意見もありますが、「佐々木」という姓や「代々木」という地名のように、「々」を使うことが正式な場合に限っては、使用しても問題ありません。
ただし、踊り字を使用するときは、文章を読む人のことを考慮することが大切です。たとえばくの字点や二の字点は機種依存文字のため、パソコンやスマホの機種によっては文字化けしてしまいます。特にこだわりがなければ、このような踊り字の使用を控えた方が良いかもしれません。
踊り字は日本だけに見られるものではありません。
たとえば、前の行と同じ数字や語句を繰り返す際に使用する踊り字「〃」は、「ditto(同上という意味)」「ditto mark」という呼び方で海外でも使われています。ちなみにこの踊り字は、日本では「ノノ字点」「同じく記号」などと呼ばれます。ほかにも、「テンテン」「チョンチョン」と親しみやすい形で呼ばれることもあります。
今回は踊り字の豆知識をご紹介しました。踊り字には正式な読み方はありませんが、使い方が決まっています。踊り字を使う際は、正しい使い方を守るようにしましょう。踊り字は漢字ではなく記号なのです。
踊り字という名称も一般的ではないので、「々」を説明するには結局「名字の佐々木の二文字目に使うカタカナの、ノマに似たもの」と説明するしかないようですね。