ガーデニング初心者参考! ハーブの育て方のポイントとメリット

ハーブは手軽に育てることができ、ガーデニング初心者の方でも簡単に栽培することができます。ハーブは観賞するだけではなく、料理の香りづけに利用したり、アロマセラピーのエッセンシャルオイルに利用したりと用途はさまざま。古代エジプトでは、ミイラの防腐剤として使われていたという記録も残っているほど、人間との関わりの深い植物です。今回はガーデニング初心者におすすめのハーブの育て方トメリツトご紹介します。

ハーブについての基礎知識

暮らしに役立つ植物として、ハーブは古代から人々に愛されてきました。ラテン語で「草」を意味する「ヘルバ(herba)」に由来し、食用・飲用・薬用・美容・園芸・装飾など、生活のさまざまな場面で幅広く活用されています。まずは、ハーブについての基礎知識をご紹介します。

ハーブとは?

ハーブとは、日々の生活に役立つ香りのある植物の総称で、それぞれの植物によって、葉や茎、つぼみ、花、根などが使われます。

また、ペッパーやターメリック、シナモンなどの「スパイス」と呼ばれるものがありますね。「ハーブとスパイスって何が違うの?」という質問もよく受けますが、実は、ハーブとスパイスの区分や定義は、国や専門家によってさまざまで、決まりはありません。ハーブとは、生活に役立つ香りのある植物の総称ですので、ハーブの中にスパイスも含まれるという考えもありますし、ハーブは花・茎・葉で、スパイスは種子・根・実と、使用する部分で分けて考える場合もあるようです。

ハーブにはどんな種類がある?

ハーブには、1万を超える種類があります。

代表的なハーブには、ミント、バジル、ラベンダー、ローズマリー、パセリ、マジョラム、パクチー、ローズゼラニウム、セージ、レモングラスなどがあります。また、ドクダミやシソ、ショウガやワサビなど、日本人に馴染み深い植物もじつは立派なハーブなんですよ。

そして、それら一つひとつが、抗菌作用・発汗作用・利尿作用など身体に有効な異なる成分を持っているのが、ハーブの特徴。「料理」「薬用」「園芸」「クラフト」「お茶」「健康」など、さまざまな用途に使用されます。このハーブの持つメリットを、日々の暮らしの中でうまく利用できると、生活の豊かさにもつながりそうですね。

ハーブを育てるメリット

ハーブは育てたら使える! という点が最大のメリット。わざわざ買うのではなく、栽培しておけば使いたいときに、使う分だけ収穫できます。また、ハーブは病害虫に強い種類が多いため、農薬を使用しなくても栽培可能。飲んだり食べたりと口にする機会も多いハーブですから、安心安全に使用できるのも自家栽培の嬉しいポイントです。まだまだたくさんメリットがあるので、ご紹介します。

料理の幅が広がる

ハーブは、和食に使われる薬味と同じように、日々の料理に少し加えることで、味を引き締めてくれます。例えば、お肉を焼くときに、生のローズマリーやタイムを1枝加えるだけで、いつもと違う味と香りが楽しめて、料理上手になった気がしてしまうくらいです。

お料理に向いているハーブは、ローズマリー、タイム、セージなど。まずは1種類から試してみて、慣れてきたら、ローズマリー+タイムや、ローズマリー+セージというように複数のハーブを組み合わせ、ブレンドしてみるのもおすすめ。ブレンドとなると、相性が気になるところですが、ローズマリー、タイム、セージは、同じシソ科の植物で、相性も抜群。じつは、ハーブは組み合わせることによって、お互いの角が取れてマイルドに感じる作用があるんですよ。お料理のアレンジの幅が広がり、レシピの選択肢も増えますね。

採れたてならではの風味がある

そんなハーブを庭の一角で育てておくと、必要なときにすぐに使えて、とても便利

じつは、ハーブのもつ特有の香りは、空気に触れると揮発して、だんだん消えていってしまうんです。この香りはハーブにとって摘み取ったらすぐ使うことで、格別な風味を楽しむことができますよ。スーパーなどで売られている乾燥ハーブは、長期保存をするための工夫です。お庭で育てたハーブは、わざわざ乾燥させてから使う必要はありませんので、フレッシュのまま活用するのがおすすめです。

この格別な香りは、ハーブのおいしさを左右するポイントにも。これを味わえるのは、自分で育てた人の特権! 日当たりのいい場所と、ちょっとしたコツがあれば育てられるので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

虫除け効果があるってホント?

多くのハーブには、虫が嫌う「昆虫忌避作用」があります。これは虫が嫌いな香りを発して、植物自身が自分を守るための手段です。そのため、ペパーミントやバジル、レモングラス、ローズマリー、ラベンダー、ゼラニウムなどは、栽培していても虫が付きにくい丈夫なハーブといえます。

「玄関や庭にハーブを植えると、ゴキブリや蚊などの虫を寄せ付けないってホント?」と聞かれることがありますが、植えてあるだけで虫が室内に入るのを防ぐことは、残念ながらできません。葉や茎・花などに含まれる芳香カプセルがはじけた時に、香りが届くシステムなので、植物自体に虫がつかないようにすることはできますが、人間が虫除け作用を利用したいのであれば、このカプセルに触れないといけません。

というわけで、葉や花をこすってカプセルを弾けさせていれば、虫除け作用も期待できますが、植えてあるだけではそれほど効果は感じられないと思います。

ハーブを上手に育てるポイント

利用法もさまざまなハーブは、初心者さんが、「植物を育てる楽しさ」を体感するアイテムとしておすすめ。もともと厳しい自然環境で育ってきた植物ですから、特別な世話は必要なく、育てやすいといえます。大切なことは、環境に合った育て方をしてあげること!

まず、ハーブを上手に育てるために大切なことは、温度・日当たり・風通し・水やりです。ですが、先述の通り、ハーブと一口にいっても、1万種類以上もありますので、その種類によって好む環境が異なります。育てたいハーブに合わせて環境を整えてあげることで、失敗のリスクもぐっと減ります。例えば、バジルは熱帯アジア原産。日本のじめじめした夏は得意ですが、寒さは苦手で、発芽生育に必要な気温は13℃以上です。それ以下になると、日本ではうまく育ちません。

また、ローズマリーは地中海沿岸がふるさと。湿気がなく、カラッとした気候が好きなので、水やりを控え、風通しよく管理すると、うまく育ってくれます。

このように、まずは育てたいハーブの「原産地」がどこかを知ることが大事です!生まれた土地の気候に近い環境をつくってあげましょう。

ハーブを育てる上での注意点

もう少し詳しく、ハーブを育てる上での注意点をまとめます。もし、今までハーブを育ててもうまくいかなかった…という経験がある方は、この点をもう一度見直してみるとよいかもしれません。

寄せ植えをしないほうがうまく育つ?

寄せ植えとは、1つの器に何種類かの植物を混植すること。さまざまなハーブを寄せ植えすることで、見た目が華やかになりますよ。

上級者の方は、いろいろなハーブを1つにまとめて楽しんでみてください。一方、初心者の方は、1つの鉢に1種類のハーブを植えて育てることからスタートするのがおすすめ。ハーブにはさまざまな種類がある故に、育て方も多種多様。

それぞれに適した土や環境が違うため、はじめのうちは単独で植えるほうがよく育つでしょう。

慣れてきたら、原産地や、シソ・アブラナなどの「科」で分ける、好きな環境が似ているもの同士を合わせるなどしていくと、育てやすい寄せ植えができますよ。ハーブだけでなく、一年草や多年草など、お花の楽しめる苗と一緒に植えてもOKです!

環境に合ったハーブを選択する

先ほど、育てたいハーブに合わせて、環境を整えてあげることが大切というお話をしましたが、日本の気候は温帯と呼ばれ、冬と夏とでは温度差があり、降水量も多く、高温多湿である点、さらに日本の場合は、北海道から沖縄まで縦長の地形で、北海道と沖縄の気候が全く違う点にも注意が必要です。つまり、住んでいる場所によって、育ちやすいハーブ・育ちにくいハーブがあり、すべてのハーブが日本の気候に適応しているとは限らないのです。

また、園芸本に書かれている情報は、関東以南の平地での栽培を基準にしている場合が多いので、お住まいの地域によっては、本に書いてある通りには育たないケースもあります。

例として、レモングラスは東南アジア原産なので、湿度や暑さに強く、九州南部や沖縄などでは育ちやすいですが、北海道では栽培に工夫が必要で、難易度が上がります。

反対に、ラベンダーは乾燥した地中海沿岸が原産地。梅雨がなく、じめじめしていない北海道では育ちやすいですが、過湿に弱く、特に日本の梅雨・長雨は苦手なので、他の地域では栽培が難しくなります。

というわけで、住んでいる土地の温度や気候に合ったハーブを選べば、失敗もぐんと減るはずです。「欲しい」という気持ちだけで選ぶのではなく、欲しいハーブは、自分の住まいに合っているかどうか、一度チェックをしてみてくださいね。

おすすめのハーブ5選

これからハーブを育ててみよう! という初心者さんにも、栽培から収穫まで楽しめて、使い勝手もいいハーブを5つ、ご紹介します。

ミント

ミントはシソ科の耐寒性多年草です。清涼感のある強い芳香が特徴で、スイーツやドリンク、ガムなどの菓子類や化粧品など、幅広い用途に向く非常に使い勝手のよいハーブです。原産地は、北半球の温帯地域・アフリカなので、日向で水はけのよい土を好みますが、種類も多いため、半日陰やじめじめした湿地でも育つものもありますよ。

ミントは地植えすると、茎が地中にどんどん伸びて広がるため、広がらせたくない場合は、一度鉢に植えた状態で地植えにしたり、地面に間仕切りを置くなど、根が広がらないようにする工夫が必要です。特に増えやすいミントは、スペアミントとアップルミントです。原種に近いものは繁殖力も強いという特徴がありますよ。

食用としてポピュラーなのは、スペアミントとペパーミント。150cc程度のお湯に、ミントの葉を15枚程入れて熱湯を注げば、爽やかなミントティーのでき上がり。消化促進作用があるので、食事の後、食べ過ぎた時、胃がもたれた時などに飲むと、すっきりします。

また、飴やガム、歯磨き粉などの香り付けに使用され、イライラや疲労、酔い止めなどスッキリさせる効果が期待でき、鼻がスッキリとおるので花粉の季節におすすめです。

 

バジル

バジルはシソ科の非耐寒性一年草です。イタリアではバジリコと呼ばれ、食欲をそそる強い香りが特徴。フレッシュ(生葉)のままパスタやピザ、サラダ、肉料理などに使用すると、風味をアップさせてくれます。

原産地は熱帯アジア。暑さには強く、日本の高温多湿でも丈夫に育ってくれます

バジルを育てるのに適した環境は、日当たりがよい場所。西日でもOKです。乾燥に弱いため、土の表面が乾いたら水をたっぷりと与えましょう。また、20cmくらいの高さになったら、収穫を兼ねて先端を摘む作業「摘心」をすると、脇芽が伸びて大株に育ち、収穫量がアップします。

たくさん収穫したいなら、花を咲かせないこともポイント! 花が咲くと新芽が出にくくなるし、葉も固くなります。

花は早めに摘み取って、飾って楽しみましょう。

たくさん取れたら、バジルペーストもおすすめ。フレッシュのほうが香りや風味はよいですが、ドライにしておくのも良いです。

香りには鎮静作用があり、頭痛や吐き気、胃の不調を緩和に効果があります。また、シネオールという蚊が嫌う成分を含んでいるため、虫除けの作用も期待できます。

 

パセリ

パセリはセリ科の半耐寒性二年草。料理の付け合わせにぴったりで、彩りを添えてくれるだけでなく、食後の口直しとしても利用されます。地中海沿岸が原産地で、葉の縮れた「モスカールドパセリ」と、葉が平たい「イタリアンパセリ」があります。

パセリを育てるのに適した環境は日向で、水はけのよい用土です。25℃以上になると生育が衰えます。高温多湿と、夏の強い日差しは苦手ですので、黄色くなった葉は取る・適宜収穫するなどして、株元の風通しをよくしておきましょう。また、鉢で管理して、夏場は涼しい場所に移動などすると、うまく栽培できるでしょう。また、初夏に花を咲かせると枯れます。花芽がついたら、摘むようにしましょう。春~秋は、屋外でよく日に当てて栽培しますが、冬場は室内に取り込むなどすれば、長期に渡り収穫ができます。

たくさん収穫できたら、冷凍しておくのがおすすめ。手でパラパラにできるので使いやすいですよ。

料理の彩りに添えられている姿をよく見かけるパセリ。野菜と比べて栄養価が非常に高く、特にビタミンCが多く含まれています。また、口臭予防や疲労回復、食中毒の予防などにも効果があります。嫌いな人も多い反面、捨てるのがもったいないくらい、体によいハーブです。

 

ラベンダー

ラベンダーはシソ科の常緑低木です。種類によって、耐寒性があるものとないものがあります。柔らかいフローラルの香りが特徴で、香りを楽しむのによく利用されます。料理やハーブティーに使われるのは、イングリッシュラベンダーやトゥルーラベンダーです。ラベンダーにもたくさんの種類がありますので、ご注意くださいね。

ラベンダーを育てるのに適した環境は、基本的には、日向と水はけのよい用土ですが、お住まいの地域に合わせて品種を選ぶと失敗が少ないはず。高温多湿に強い・弱い、寒さに強い・弱いなど、それぞれの地域に合う育てやすいラベンダーがあります。

鮮やか案紫色の花から漂う香りには、リラックス効果や炎症作用があるとされ、ポプリや香水にも使われます。また、皮膚の炎症を抑え、肌への刺激が少ないことから、アロマテラピーをはじめる方におすすめです。

 

ローズマリー

ローズマリーは、シソ科の耐寒性常緑低木です。チキンや魚などと相性がよく、料理の幅が広がる、使い勝手のいいハーブ。大株に育つので、庭の植物としても見応えがあり、常緑で一年中収穫できるのも魅力です。

ローズマリーを育てるのに適した環境は、バジルと同様に日当たりがよく、風通しのよい屋外です。キッチンで栽培するのではなく、屋外で育てて、必要な時には庭へ出て摘むようにしましょう。また、ローズマリーは香りが強いのも特徴。たっぷり芳香成分を含んでいて、触るとべたべたするのは「精油」です。疲れた時に一枝折って香りをかぐと、気分がすっきりする作用がありますよ。

精神安定効果があり、集中力や記憶力を高める作用が期待できます。

 

ハーブを育ててガーデニングを楽しもう!

ハーブは、鑑賞するだけではなく料理やお茶に利用したり、香りをかぐなど、日常生活で活用できる場面が多く、初心者さんでも育てやすい丈夫な植物です。ハーブといってもかなりたくさんの種類があるので、ご自宅の環境に適したハーブを選ぶことが失敗しないコツです。飲んだり食べたりできるのはハーブならでは! 

ガーデニングを楽しみながら、癒しのひとときを過ごしてください。

日々の手入れ、水やりの頻度に注意しながら育てれば初心者の方も簡単に育てられます。

自分好みのハーブを見つけて育ててみてはいかがでしょうか

<注意点>

自然の恵みが詰まったハーブですが、妊娠中・授乳中の方、治療中の病気がある方、体質等の心配がある方は、使用できない種類もあります。使用する前に、かかりつけの医師にご相談ください。また、ハーブは薬ではありません健康状態が気になる方も医師にご相談ください。

 

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